第4回「鶏の品評会」
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「愛鶏家の殿堂」
 
 趣味で鶏を飼育する“愛鶏家”と呼ばれる人々にとって、鶏を飼う目的は様々である。

 ある人は、天然記念物に指定された日本鶏にこだわりながら文化保存を目的とし、ある人は鶏の多様性に魅了され、何種類もの鶏を飼い、またある人は犬や猫と同じようにペットとして鶏を可愛がる。目的が違えば、当然のことながら、鶏への接し方も異なるわけだが、自分の人生に楽しみを与えてくれる鶏を大切にするという点ですべての人が共通 している。

 鶏の健康に気を使い、最良の餌を与え、より安楽に過ごせるように快適な鶏舎を自作し、良いヒナを取るための努力は惜しまずといった具合に、誰もが自分の理想とする鶏を育て上げようと一生懸命なのだ。こうした、試行錯誤の成果 が問われるのが、品評会や共進会と呼ばれる鶏のコンテストである。

 それぞれが自分なりの鶏哲学を持つ愛鶏家にとって、品評会とは、手塩をかけた鶏を仲間に披露する良い機会である。しかし、成果 が賞賛されることがあると同時に否定されることもあるのが品評会の常である。桧舞台であり、自らの鶏哲学をかけた真剣勝負の場でもあるのだ。

 品評会は主に全国各地で活動する鶏専門の協会やグループで開催される。ほとんどの愛鶏家はどこかに会に所属しており、自分が所属する会が主催する品評会に愛鶏を出品するのが一般 的である。また、他の会に出品を依頼され、交流という形で出品するこもある。

 
 ただし、自分が所属していない会に出品する場合は上位を目指そうとすると少々の困難がつきまとう。理由は審査基準の違いである。一般 的に、鶏の容姿を競う品評会であれば、おおまかなところで審査基準は一致しているが細部になると異なる場合がある。そのため、所属する会の審査基準のみをクリアする鶏の飼育方法では、勝ちきれないのだ。

 また、ひとことで「鶏の容姿を競う」と言っても、生き物を飼う上での知識はもちろんのこと、その鶏の歴史的背景を理解し、種本来が持っている特徴を上手引き出さなくてはならない。ただ、容姿端麗に育てるだけでは評価されない奥深い世界なのである。そこで、今回は、愛鶏家が集う品評会の世界をご紹介しよう。
西根町で開催された
日本家禽会の共進会の模様