第4回「鶏の品評会」
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「上位入賞」
 審査員の審査結果が集計されるといよいよ審査発表である。上位 入賞を果たした鶏を飼育した人には、楯やトロフィー、賞品などが贈られる。また、鶏は種鶏としてその後の一生を送ることになる。しかし、優れた鶏から必ずしも優れた鶏が生まれるのではない。血統はもちろん大切だが、重要なのは、その鶏が持っている特徴を理解した上での雄と雌の組み合わせだという。

 例えばチャボの場合、身体が小さく、脚が短いものが良いとされている。しかし、小さい身体と短い脚は劣性遺伝である。そのため、同じように身体が小さく、脚が短い雌を掛け合わせていくことで、生まれてくる鶏の身体そのものが弱くなってしまうのだ。そこで、種としての勢いを高めるためには、ときには、脚は短い雄に脚の長い雌を掛け合わせ、遺伝子を勢いづけてやる。

 さらに、そのつがいから生まれたヒナを審査基準から外れていたからといって、むやみに淘汰するのではなく、常に種としての多様性を残し、近親交配を避けることが望まれるという。

 また、数年に一度は、ほかの鶏舎から新たな遺伝子を導入することも不可欠である。同じ一族間で遺伝子を交換し続けると、やがては一族全体が衰退するのだ。

 愛鶏家たちの間では、「鶏は高く売るな」という鉄則がある。たとえば、品評会で上位入賞したからと言って、その度に高い値をつけて売っていたとすれば、鶏の血統維持のため、いつか自分が他の鶏舎の鶏を必要としたとき、自分が鶏を売ったときと同じように高い値を付けられてしまうからだ。良い血統を維持するためには相互の協力が不可欠なのだ。

 全国から多くの愛鶏家が集まる品評会は、こうした遺伝子の交流を行える友を探す場所でもある。
血統を大切にしながら、
常に新しい遺伝子を
入れてやらなければ、
優秀な鶏は望めない。
美しいチャボのつがい。
シャモより体格は小さい
金八鶏は、 秋田県で盛んに
飼育されている。